妄想性パーソナリティ障害とは

妄想性パーソナリティ障害とは

妄想性パーソナリティ障害は、他者を信用せず、根拠の乏しい場合でも他者が自分に害をなそうとしていたり、欺こうとしていると考えてしまうものです。何ら明確な理由や根拠もなく、あるいは何の関係もない、ほんの少しの出来事から勝手に曲解して、人から攻撃される、利用されるといった不信感や疑いの気持ちを強く持ち、広く対人関係に支障をきたすパーソナリティ障害の一つです。

日本では、人口の0.4~5.1%が妄想性パーソナリティ障害を有していると推定されています。

妄想性パーソナリティ障害の発症には小児期の情緒的及び身体的虐待、犯罪被害との関連性が示唆されています。また、統合失調症の発端者の親族に有病率が高いとされています。

妄想性パーソナリティ障害の症状

他者の動機を悪意あるものとして解釈する、不信感や疑い深さが特徴です。

何か理由があるわけでもないのに、他者が自分を利用しようとしている、危害を加えるつもりだと決めつけてしまいます。さらに、こうしたことの理由付けを行うために他者の行動を細かく調べていることが多いです。

具体的な例

  • 他人に利用されてしまう気がして、仲が良くても個人の情報を教えようとしない
  • ふとした言葉に自分をけなしたり脅したりする意味があると考えてしまう
  • 店員の悪意のない過失を故意に自分を騙そうとしたと思い込み、怒る
  • 友達の冗談が通じず、個性を否定されたと感じる
  • 仕事を褒められると、より良い結果を出せと強要されているように感じる
  • 自分が受けたと思っている侮辱や心の傷をいつまでも許さない
  • 敵対感情が長期にわたって続く

こうした症状が成人期の早期までに見られるようになります。

妄想性パーソナリティ障害は小児期や青年期に明らかになることがあります。これは、周囲から孤立してしまったり、変わった思考や言葉、学業成績不振から分かることがあります。また、妄想性パーソナリティ障害を抱えていると周囲から奇妙に見られ、それがいじめにつながってしまうこともあります。

妄想性パーソナリティ障害の診断

DSM-5による診断基準は以下です。

A.他人の動機を悪意あるものと解釈するといった、広範な不信と疑い深さが成人期早期までに始まり、種々の状況で明らかになる。以下のうち4つによって示される

  1. 十分な根拠もないのに、他人が自分を利用する、危害を与える、または騙すという疑いをもつ
  2. 友人または仲間の誠実さや信頼を不当に疑い、それに心を奪われている
  3. 情報が自分に不利に用いられるという根拠のない恐れのために、他人に秘密を打ち明けたがらない
  4. 悪意のない言葉や出来事の中に自分をけなす、または脅す意味が隠されていると読む
  5. 恨みを抱き続ける(つまり、侮辱されたこと、傷つけられたこと、または軽蔑されたことを許さない)
  6. 自分の性格または評判に対して他人にはわからないような攻撃を感じ取り、すぐに起こって反応する、または逆襲する
  7. 配偶者または性的伴侶の定説に対して、繰り返し道理に合わない疑念を持つ

B.統合失調症、「双極性障害または抑うつ障害、精神病性の特徴を伴う」、または他の精神病性障害の経過中にのみ起こるものではなく、他の医学的疾患の生理学的作用によるものでもない

妄想性パーソナリティ障害の治療

妄想そのものを真正面から取り上げるのではなく、そのような気持ちに至ったプロセスを共に考えていきます。また、そのような考えに至ったきっかけ、原因は必ずあるはずです。考えに至ったきっかけ、原因を共に考えていきます。

妄想性パーソナリティになった背景には刺激に敏感だったり、恐怖や恥、罪の意識に敏感であるかもしれません。生まれ育った家庭環境でおびやかされるような体験があったり、恥ずかしい思いをさせられてきたかもしれません。そのような矛盾があり、不安に満ち溢れたメッセージについて勧化、傷つきやすい状態と万能的な意識について考えていきます。

さくら心理オフィスでは、自分の性格を理解すること目指し、クライエント自身が適切な支援の方法を選択することを支援します。

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